羽柴家の男共は週に一度、いつも以上に惰眠をむさぼる。
二週間に一度、私もそれに加わる。
というのも明け方まで思いっきり愛してもらっているので(きゃっ。恥ずかしい)、起きれないのだ。
今朝もいつものように目覚ましがなる。
が、あんまり眠たくてどこに目覚ましがあるかわからなくなって手がうろうろする。
と、止める前に当麻が止めてしまう。
「まだ、寝とけって」
当麻が寝ぼけながら言い、頷いた私は当麻の方に体を摺り寄せるとそのまま眠ってしまう。

御昼前にようやく目がさめる。
がばりと起きあがってやっぱり恥ずかしくなる。
だって、なんで起きれないか明白なんだもん。
こんな恥ずかしいことないって・・・。
バスルームへ駆け込んでシャワーを浴びる。
(読者サービスはありません。って当麻のシーンが欲しいって? 私もだって(笑))
ついでに当麻がいたずらしていないかチェック。
というのも時折、当麻がキスマークをしっかりつけてくれるから。
見えないところだったらいいけど、見えるところはねぇー。
何度か、いたずらされてもう顔から火が飛び出るほど恥ずかしい思いをしてるのだ。
わーん。今日も一個ついてるー。
あとでバンソウコでも張るしかない・・・。
当麻の馬鹿ー。ぷりぷりしながら今日の御昼を作る。
もう夏なので良く晴れた日はそうめんか冷麦か冷やしうどんになってしまう。たまに冷麺とお蕎麦が登場する。
今日は冷やしうどんにしよ。
うどんをゆでながら薬味を用意する。
と、ふとイギリスって夏、何を食べるんだろう?なんて事を考える。
素麺、ってあるのかしら?
やっぱ、御中元に素麺催促しておこう。
実家からの御中元、まともにお母さんの趣味のビールだったもんなぁ。
おかげで最近、毎夜飲み会状態だもん。お酒なんか嫌いだ・・・。
おわっ。考えごとしながら葱切っていたら指切りそうになった。危ない危ない・・・。
今、指怪我したら最悪。もう、試験期間なんだもん。うちの学部、筆記試験もあるけど、それ以上にレポート試験が多いんだよね。
今、指怪我したらワープロ打てないもん。
なんてことしてるうちに用意が出来る。
二人を呼びに行こうとしてファックスに気づく。
見ると英語だらけ・・・。
私はパス。読みたくない。夢にまで英語が出て来るんだもん・・・。くすん。
ので、当麻を起こしてファックスを押しつける。
「当麻ー。イギリスからファックス来てるよー。起きてみてよー。それから御昼ご飯だよ」
ゆさゆさ起こすが、相変わらず起きてくれない。
ので、いつもの手で起こす。
「おはよう。御昼だよ」
んー、と当麻が背伸びする。
目がさめたところにファックスを押しつけて問う。
「どこから?」
「不動産屋」
ファックスに目を走らせた当麻が即答する。
「ちゃんと服着て起きてよね」
言うだけ言って次はゲンイチロウ君パパを起こしにかかる。
「ゲンイチロウ君パパー。起きてくださいー。御昼ですよー」
と起こすが起きない。やっぱり親子だ、と感心するもどうにかして起こさなければならない。
ので、彼に対してはほらを吹く。
「研究室が火事ですよーっ」
思いっきり言うとゲンイチロウ君パパが飛び起きる。
「うそですー。おはようございます。御昼ですー」
ああ、とだけ答えてゲンイチロウ君パパが頭を振る。
「もう少しまともな嘘はないのか?」
「だって、この嘘しか起きてくれないんですから。ちゃんと起きてご飯食べてくださいねー」
男共二人をようやく起こしてようやく御昼にありつく。
ダイニングルームに来たゲンイチロウ君パパが新聞を広げ、その折に私は広告を受け取る。
でもって特売品をチェックする。
当麻といえば、今日はファックスを見てる。いつもならゲンイチロウ君パパから新聞を一枚一枚受け取って読んでる。
一時、新聞争奪戦が繰り広げられたので私がそう提案したのだった。広告を見ないときは私が三番目になるのだ。
御行儀が悪いけど、これが羽柴家の一食事風景だったりする。
皆、何かを読んでいるのは日常茶飯事で、時によったらテーブルの上に御互いの顔が見えないほど本が山積っていう状態もあるから。
それでも、なおかつ、会話が交わされるのはほとんど三人聖徳太子状態と言えるかも。
「あー。今日、卵安いっ。あっ。サラダ油もっ。いやーん。マヨネーズも安いっ」
特売品の連打に思わず声を上げてしまう。
ようやくファックスから新聞に切り替えた当麻が言う。
「どこ店だ?」
私はちょっと遠い大手スーパーの名を言う。私が騒ぐ時は大抵遠いところだから。
「わかった。あとでイギリスと連絡とったらつれていってやるから」
「とーま。ありがとうっ」
この後に及んでも相変わらず、当麻と呼んでいる。
一回、あなたと呼んだら絶対に止めろといわれた。
なんでと聞いたら似合わないから、とかなんとか言っていたけど、実際は恥ずかしいのだろう。
当麻は他人に紹介するときは妻と言うけどその他は相変わらずあゆと呼ぶし、ゲンイチロウ君パパは
私のことを娘よ、と呼ぶ。当麻のことを息子、と呼ぶからだと思う。ゲンイチロウ君パパって当麻の御母さんのことをあれ、と言うし、どうも
固有名刺で呼ぶのが苦手みたい。そういうところがなかなかかわいいと思う。
「ゲンイチロウ君パパ、何か欲しいものありますか? 御買い物に行きますが?」
「重力軽減装置」
「そんなもん買えませんーっ。国家予算に頼んでくださいーっ」
「もう頼んであるが、買ってくれない」
「だったらNASAにでも頼んでくださいーっ」
「ふむ」
「・・・がんばって大統領と御友達になってください」
「ありがとう」
とんでもない会話だけどこれも普段と変わらないのが羽柴家の謎の一つかもしれない・・・。

羽柴家の愛車ミニ・クーパーでお出かけする。
「あー。今日はいい天気ー。デートしたいなぁ」
広がる青空に思わず声を出す。
「ドライブと買い物、どっちがいい?」
当麻が車を運転しながら問う。
「えっ? ドライブいいのー? 疲れない?」
「それを聞くならお前のほう。よくもまぁ、あれだけ動いて平気だな」
って・・・恥ずい話しやめてよーっ。
「で、どっちだ?」
「うーん。両方っ」
「ほい。了解」
御買い物ロードが一転してドライブロードになる。
私は思いっきりはしゃいでぺらぺらしゃべりまくる。
対する当麻の返事が英語って言うのが気に食わないけど、まぁ、それも愛情の印なので許す。
と、ずいぶん前に来た運動公園につく。ここには中に水生公園があって夏に来たいなって言ってたんだよね。
当麻の記憶力ってすごい。って私が忘れっぽいだけ?
「降りるの?」
「嫌ならいいけど?」
降ります。降りますっ。
ばたばた降りる。
夏の開放感にわーい、とはしゃいでしまう。
その後ろから当麻がついてくる。
公園の中には小川が流れていて靴を当麻に預けるとばしゃばしゃ足をつっこむ。
「つめたーい。きもちいいー。当麻もおいでよー」
「スカートぬらすなよ」
「すぐ乾くからいいもーん」
馬鹿がつくほどはしゃぐ私を当麻がこれでもかというほど幸せそうに眺めている。
恥ずかしながらいつもの幸せの一構図です。はい。
ひとしきりはしゃぐと靴を履いて今度は水生公園に行く。
そこは水の中にいろいろ飛び石があったり道があったりしてなかなか面白いところなのだ。
大きな飛び石を嬉々として渡る。
「お前、試験期間前だというのに余裕だな」
元気一杯の私に当麻が苦笑いする。
「いーでしょ。楽しいものは楽しいのっ」
なんて言ってるけど、実は現実逃避だったりして・・・ははは。
なんて事を考えていると、思わず足を滑らす。
「おいっ」
当麻が間一髪で助けてくれる。
「はしゃぐのもいいが、限度を知れ」
「ごめんちゃい」
振り仰いで謝る。
うわー。雲一つない真っ青な青空ときらきら輝く太陽と当麻。
「当麻ってやっぱ、天空の当麻なんだー。お空に思いっきり愛されてるって感じー」
感動してほけっと眺めてしまう。
「俺はお前の愛で十分だけど?」
当麻が微笑む。
お空と当麻と太陽と私。
あ、なんかすっごくロマンティックな状態。
「なんかロマンティックー」
馬鹿の一つ覚えみたいに呟いてしまう。
「ロマンティックついでにキスしようか」
えっ?
その言葉に戸惑う。
「誰もいないから」
って言われてもー・・・。
でも、こんな素敵な青空ってめったにないからいいかな、なんて思いながら目を閉じる。
吐息が近づいたかと思うとキス。
当麻のようなお空の下でキスを受ける。
優しい、優しい当麻のキス。
素敵な夏の思い出がまた一つ出来ました。
なんて、ね。

ロマンティックな世界の後には現実がやってくるわけで、御買い物で思いっきり現実的になってしまった。
なんかもったいない。
でもってすごい人ごみを突破したのでもう疲れきって帰ってきたらばったりしてしまって久々に家事放棄をしてしまった。
ドライブと買い物両方とは大変だったかも・・・。
それにレポートがわんさと待っている事態にもう泣くしかなかった。
私に御休み頂戴ーっ。






2017/3/28 戯言ラストです。最近スマホで閲覧してへへへと笑ってる私。用語が古くて時代を感じさせます。 生協カードほしいよう。ファイル買いたい~。でも通し・・・。本屋はどこへ行った?